タイの電波法と無線機器の認証取得
タイで通信装置を利用・販売するためには、タイの電波法に従い NBTC(タイ国家放送通信委員会)が定めた適合基準をクリアしたうえで、NBTCへの登録または認証を取得する必要があります。
適合評価の対象となる通信装置は、その特性や用途により Class A, Class B, SDoC の3つのクラスに分けられ、また人体への影響(人体曝露)によって type 1, type 2, type3 の3つのタイプに分類されます。
NBTCへの登録または認証に必要な手続きは、クラスとタイプの組み合わせによって異なります。
項目
- 特性による分類
- 人体への影響による分類
- 認定試験所
- 申請に必要な書類
- 代表的な無線規格の試験レポート
- 適合の表記義務
- 通信機器の輸入ライセンス
- 装置に変更が入った場合
- 罰則について
- 未認可デバイスの試験利用
- 認証の申請費用と期間
特性による分類
特性や用途により、以下の3つのクラスに分類されます。
Class A
認定された試験機関で適合基準を満たしていることを確認し、NBTCに登録する必要があります。
装置例 | 衛星通信, ビル用のPLC通信 |
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適合評価 | NBTCの認定試験所による試験レポート |
申請種別 | NBTCへ登録を申請 |
適合表記 | 登録番号を記載したラベルの貼り付け。マニュアル、パッケージ、リーフレットへの適合表記。 |
Class B
認定された試験機関で適合基準を満たしていることを確認し、NBTCの認証を得る必要があります。
装置例 | 携帯通信, アマチュア無線, 海上無線通信 |
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適合評価 | NBTCの認定試験所による試験レポート |
申請種別 | NBTCへ認証を申請 |
適合表記 | 認証番号を記載したラベルの貼り付け。マニュアル、パッケージ、リーフレットへの適合表記。 |
SDoC
装置例 | 無線LAN, bluetooth, 920MHz帯(LoRa, SIGFOX, Wi-SUNなど) |
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評価試験 | 任意の試験所による試験レポート |
申請種別 | NBTCへ適合宣言(SDoC)を提出 |
適合表記 | ラベルは不要。マニュアル、パッケージ、リーフレットに適合していることを表記してもよい。 |
対象外の装置
下記の目的で利用する場合は、認証の対象外です。
- 教育目的または教育関連機関が実験室で使用する通信装置
- 一時的に持ち込んだ商業目的ではない私物で、不要になった際に持ち出される通信装置
- 国家安全保障機関による諜報目的で使用される通信装置
- 教育、環境、または生態学を扱う機関による科学的調査に使用される通信装置
- 国連の専門機関が使用する通信装置
- 外国船舶または航空機に搭載されている通信装置
人体への影響による分類
無線が与える人体への影響によって、以下の3つのタイプに分類されます。
type 1
要件 | 通常人体から20cm以内の位置で使用される無線装置 |
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装置例 | 携帯電話 |
評価試験 | 比吸収率(SAR)の測定が必要 |
申請種別 | class A または class B 機器の場合、NBTCへ適合宣言を提出 |
適合表記 | マニュアル、パッケージ、リーフレットへの適合表記 |
type 2
要件 | 通常人体から20cm以上離れた位置で利用される無線装置 |
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装置例 | 車載の無線通信機器 |
評価試験 | EMFの試験または計算値 |
申請種別 | class A または class B 機器の場合、NBTCへ適合宣言を提出 |
適合表記 | マニュアル、パッケージ、リーフレットへの適合表記 |
type 3
要件 | 固定の場所に恒久的に設置し広い通信エリアをカバーする無線装置 |
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装置例 | 携帯通信の基地局 |
評価試験 | EMFの試験または計算値 |
申請種別 | 装置の導入前にEMF試験または計算結果をNBTCに提出 |
適合表記 | 特になし |
対象外の装置
下記の目的または仕様に該当する無線装置は対象外です。
- 送信電力が2W以下で周波数が2GHz以上で動作するポイントツーポイントの無線装置
- 送信電力が100 mWを超えない無線装置
- 消防士、警察、軍隊などの訓練を受けた専門家によって使用される双方向プッシュトーク無線装置
- 国家安全保障のために使用される無線装置
- 船舶または航空機に搭載された無線装置
認定試験所
class A, class B ともに、以下の認定を取っている試験所の試験レポートが認められます。
- ISO/IEC 17025:2005
- EU Directive 1999/5/EC-Annex V-
SDoCに関しては、試験所の指定はありません。
申請に必要な書類
書類はすべてタイ語または英語で記載されている必要があります。
Class A
- 現地の代理人情報(輸入者名、連絡先、委任状、会社の登記資料、IDカードのコピー)
- 申請書
- 製品カタログ、製品仕様書
- ユーザーマニュアル、インストールマニュアル
- RF試験レポート、承認証、適合証明書
- EMC(CISPR 22 edition 4.0:2003)試験レポート
- 安全(IEC 60950-1)試験レポート
- 試験所の認定書
- EMF適合宣言書(必要な場合)
- 製品のカラー写真
Class B
- 現地の代理人情報(輸入者名、連絡先、委任状、会社の登記資料、IDカードのコピー)
- 申請書
- 製品カタログ、製品仕様書
- ユーザーマニュアル、インストールマニュアル
- RF試験レポート (ETSI基準)
- EMC(CISPR 22 edition 4.0:2003)試験レポート
- 安全(IEC 60950-1)試験レポート
- 試験所の認定書
- EMF適合宣言書(必要な場合)
- 製品のカラー写真
SDoC
- 現地の代理人情報(輸入者名、連絡先、委任状、会社の登記資料、IDカードのコピー)
- 申請書
- 製品カタログ、製品仕様書
- RF試験レポート
- SAR/EMF試験レポート(必要な場合)
- EMC, 安全に関する試験レポート
- 製品のカラー写真
代表的な無線規格の試験レポート
よく利用される無線規格と、NBTCの申請に必要な試験レポートです。
WiFi (2.4GHz)
- EN 300 328 (2.4GHz ISM) または FCC Part 15.247
- IEC 60950-1
Bluetooth
- EN 300 328 (2.4GHz ISM) または EN 300 440 (1~40GHz SRD)
920MHz(サブギガ)
- EN 300 220-1 (25~1000MHz SRD) または FCC Part 15.209
- 利用周波数帯: 920~925MHz
- 送信出力(e.i.r.p): 50mW以内
- 総送信時間: 1時間当たり1%(36秒)以内
- IEC 60950-1
適合の表記義務
適合ラベルの貼り付け
Class A, Class B の装置は、NBTC適合マークを記載したラベルを貼り付ける必要があります。
ラベルは装置の見やすい場所に貼り付け、簡単にははがれないようにしなければなりません。
Class A
Class B
また、装置が非常に小さくラベルを張り付けるのが困難な場合は、マニュアルやパッケージなど、装置の付属物にラベルを表示します。
ラベルはNBTCに依頼して作成してもらう方法と自社で作成する方法が選べますが、ラベルの数量が年間1,000枚に満たない場合は費用的にも作業的にもNBTCに依頼して作成する事をお勧めします。(詳細に関しては、お問い合わせ下さい)
なお、ラベルの発行を依頼、または自社作成を申請するためにはNBTCのライセンスを取得している必要があります。
ドキュメントへの適合表記
装置に付属するパッケージ、マニュアル、リーフレットに適合基準を満たしている事を表記する必要があります。
NBTCの技術基準 / 技術要件への適合は、以下のテキストを使います。
または
人体への影響に関する要件への適合は、以下のテキストを使います。
type 1 の場合
type 2 の場合
※ 対象装置がSDoCに該当する場合は表記の義務はありませんが、記載する場合は以下のテキストを使用してください。
または
通信機器の輸入ライセンス
ClassA および ClassB の通信機器をタイに輸入するには、NBTCが発行する通信機器の輸入ライセンスを輸入者が保持している必要があります。
なお、輸入する機器の認証の申請者でなくても、輸入ライセンスを保持していれば認証済み機器の輸入が可能です。
装置に変更が入った場合
登録または承認された装置に、登録または証明書に記載されている内容と差異が出るような変更を加えた場合、NBTCに通知する必要があります。
装置の変更時の対応は以下の2つケースに分かれます。
規格/要件に対する適合性に影響を及ぼさない場合
再度適合性評価を行う必要はありません。
規格/要件に対する適合性に影響を与える場合
装置を製造、販売、輸入する前に再度適合性評価を行う必要があります。例えば、以下のような修正の場合です。
- 送信アンテナの変更
- 送信電力や放射特性の変更
- 通信モジュールの変更
- 通信モジュールの追加
罰則について
無認可の無線装置をタイ国内で利用した場合や、認可申請の内容に虚偽の記載があった場合、
「100,000THB以下の罰金または、5年以下の懲役または、その両方」
が課せられます。
未認可デバイスの試験利用
未認可の装置でも、認証に向けた試験や、展示会でのデモンストレーションといった目的での利用は認められています。
ただし、NBTCの規則で要件が定まっていない無線技術を使った装置をタイ国内で試験的に利用したい場合は、NBTCに申請して許可を得る必要があります。
申請に必要な情報
- デバイスの仕様
- 利用目的
- 利用期間
認可に必要な期間
- 1~2か月
認証の申請費用と期間
ACTIVIOでは、classB および SDoC 無線機器の認証取得、および認証取得に必要な試験業務を行っています。
認証の申請
申請費用 | 取得までの期間 | |
---|---|---|
Class B | 198,000円 | 5週間 |
SDoC | 128,000円 | 2週間 |
※ 認証の申請に必要な試験レポートがある場合の、費用と期間です。
試験が必要な場合
認証に必要な試験レポートが無い場合、タイ国内の試験所による試験を行っています。
費用や期間は試験内容によって変わってきますので、別途お問合せ下さい。
ご不明な点があれば、以下のフォームから気軽にお問い合わせ下さい。